「パラケラテリウム」など貴重な標本が並ぶ(国立科学博物館その3)
【三葉虫の一種「ディケロケファリナ」】
国立科学博物館の地球館の中で、今の筆者にとっていちばん見応えがあるのが、地下2階の「地球環境の変動と生物の進化ー誕生と絶滅の不思議ー」かも知れない。古生代から新生代まで、恐竜を除いて、古生物の貴重な化石がずらりと並んでいる。これまで数々の自然系の博物館を見てきたが、質量共に、さすが「国立」と思う展示だ。
まず目に飛び込んでくるのが「三葉虫」の壁だ。壁一面に三葉虫の化石が展示されている。「目」ごとに分けられて並んでいる。その中でひときわ大きいのが「アサフス目」の「ディケロケファリナ」だ。
三葉虫は古生代の「海の王者」と呼ばれるほどに繁栄したが、2・5億年前の古生代末には子孫を残すことなく絶滅したと、説明板にはあった。

【三葉虫の化石がずらりと並ぶ】
魚類の展示も面白い。5・3億年前のカンブリア紀前期に魚類が現れた。さまざまな化石が展示されていたが、その中でも美しかったのが、白亜紀の化石。ノコギリザメ目の「レバノプリスティス」とエイ目の「リノバトス」が重なり合った化石だ。レバノンの産出だった。

【「レバノプリスティス」と「リノバトス」】
次いで、両生類。3・7億年前のデボン紀後期に、両生類は背骨を持つ動物のうち、最初に陸上に進出した。ペルム紀前期の両生類である「スクレロケファルス」の化石が、ほぼ全身を残していて、なんとも感慨深い。
その後に、「哺乳類と爬虫類はともに両生類から進化した姉妹である」との説明がつく。

【「スクレロケファルス」】
新生代に入り、哺乳類のさまざまな化石が並ぶ。大きなゾウ類の全身骨格標本がならんだあとに、とてつもなく大きな全身骨格標本が展示されていた。「パラケラテリウム」と言う。漸新世(3800万年前から2400万年前まで)の後期に生きた動物で、この化石はカザフスタンから産出した。奇蹄目とあるからウマやサイ、バクの仲間なのだろう。首が長く、堂々とした体格だ。

【「パラケラテリウム」】
「新たな食の開拓者」と題して、「海藻に目をつけて暮らした史上初の哺乳類」の化石も数種が展示されていた。上から吊されているので、最初はなんだか分かりにくかったが、よく見ると、その1種は束柱類の「パレオパラドキシア・レペニンギ」ではないか。「パレオパラドキシア・タバタイ」は国立科学博物館日本館を初め、各地で見てきたが、「レペニンギ」は今回、初めて気がついた。「タバタイ」に比べて、一回り大きい感じだ。泳ぐ姿で組み立てられていた。時代は1500万年前の中新世中期、分布は北太平洋沿岸(中緯度)とだけあった。化石の産出地は示されていなかった。

【「パレオパラドキシア・レペニンギ」の全身骨格標本】
ほとんど最後、という場所に驚くものが展示されていた。「マンモスの骨を利用した住居」だ。
説明板によると、人類が寒冷地へ本格的に進出するためには、機能的な住宅の建設技術が必要条件だった。ウクライナを中心に、3万から1万年前のマンモスの骨を利用した住居跡が数多く見つかっている。なかでも、約1万8千年前のメジリチ遺跡第1号住居では、95個の下顎骨を初め、400にものぼる骨が使用されていた。展示はこの遺跡の例をモデルに部分的に復元したとあった。
人間の知恵というものの奥行きに驚くとともに、どれほどの数のマンモスが狩られたのだろうかと想像した。早く平和になって、この遺跡の実物をぜひ見たいものだと思った。

【マンモスの骨を利用した住居の復元模型】
(取材・2026年10月10日)
国立科学博物館メモ
〒110-8718 東京都台東区上野公園7ー20
ハローダイヤル 050-5541-8600
休館日
毎週月曜日(日・月曜日が祝日・休日の場合は火曜日)1212月28日から1月1日
くん蒸期間(6月下旬ごろ)
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時半まで)
常設展入館料
一般・大学生630円
小・中・高校生
並びに18歳未満と
65歳以上
障害のある方とその付き添いの方1名は無料
(館内ガイドによる)