アジア最大級の竜脚類「シンジャンティタン」の産状骨格を展示(福井県立恐竜博物館・竜脚類展⑩)
【「シンジャンティタン・シャンシャネシス」の産状骨格標本】
会場の福井県立恐竜博物館をはじめとして、恐竜関係の常設展が充実してくると、恐竜の特別展はどんどん成立が難しくなっているように思う。常設展以上のものを展示することがなかなか難しいからだ。筆者個人は、国内の竜脚類を見たくて出かけたので全く文句はないが、一般の人にとってはどうだろう。
福井県立恐竜博物館の常設展では、大きな竜脚類が3点並んでいる。どんなものを特別展ではメインとして並べるのだろう、と思ったら、中国産出の竜脚類の産状骨格標本だった。新館の会場いっぱいを使って、頭から尾の先までが保存された産状骨格標本が展示されていた。長さが30メートルに迫るという竜脚類の産状骨格標本は、確かに迫力満点のものだった。この手があったか、と思った
展示されていたのは、中国新疆ウイグル自治区のジュラ紀後期の地層から産出した「シンジャンティタン・シャンシャネシス」。2013年に新種として命名された。
「シンジャンティタン」の復元した前肢と後肢も「日本初公開」の印を付けて並んでいた。後肢は3メートル近い長さがある。

【「シンジャンティタン」の復元した前肢と後肢】

【「ドンヤンゴサウルス・シネンシス」の産状骨格】
「ドンヤンゴサウルス・シネンシス」の産状骨格も展示されていた。中国浙江省の白亜紀後期の地層から産出したものだ。

【「エウヘロプス・ツダンスキィ」の全身骨格標本】
全身骨格標本としては、中国・山東省の白亜紀前期から産出した「エウヘロプス・ツダンスキィ」が展示されていた。1929年に発見されたもので、アジアにおける竜脚類研究の幕開けとなった恐竜だ、と説明されていた。
会場では展示されていなかったように思うが、図録では、面白い話が掲載されていた。主な草食恐竜の分類群ごとの化石産地を時代ごとに集計したものだ。
アジアではジュラ紀末までは竜脚類が支配的だったが、白亜紀以降は鳥脚類がほぼ拮抗している。角竜類や鎧竜類も勢力を伸ばしている。
北米では、白亜紀以降に鳥脚類と角竜類が大繁栄し、竜脚類は数を減らしている。
南米では、白亜紀後期に竜脚類の産出数が突出している。
アジアは北米や南米と異なり、白亜紀以降に主な草食恐竜がせめぎ合っていた特異な地域であったことが分かる。
ただし、この要因は定かではない、と記されていた。
すごく実感のわく話だ。
福井県立恐竜博物館の素晴らしいところは、展示ももちろんいいが、図録などの解説書がとにかく面白いことだ。しかも価格が1200円と手頃だ。本屋で恐竜関係の本を見ても、その価格の高さに思わず手が止まることが多いが、ここでは安心して買える。今回の図録もとても、面白く勉強になった。
(取材:2026年10月19日)
福井県立恐竜博物館メモ
〒911-8601 福井県勝山市村岡町寺尾51−11
電話 0779ー88ー0001
休館日 第2・第4水曜日および12月31日から1月1日
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時半まで)
観覧料(事前購入が原則)
一般1000円
高・大学生800円
小・中学生500円
70歳以上500円
(利用のご案内による)
「竜脚類」展
2026年7月10日〜11月3日
一般 1800円
高校・大学生 1600円
小・中学生 1000円
70歳以上 1000円