恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

貴重な小型イグアノドン類と分かった1999年発見の化石(福島県立博物館② 大恐竜展から)

貴重な小型イグアノドン類と分かった1999年発見の化石(福島県立博物館② 大恐竜展から)

【鳥獣類の胸骨】

 福島県産出の恐竜化石が並ぶコーナーで、「新発見」と誇らしげに展示されていたのが、白亜紀後期の「鳥脚類の胸骨」だ。

 展覧会の展示説明では、広野町の産出、図録では、いわき市の産出となっている。写真を見ても同一だし、どちらもいわき市アンモナイトセンターでの体験発掘の際に発見されたとあるから、同じものであることは間違いないと思うが、どうなのだろう。アンモナイトセンターはいわき市と広野町の境界から1キロも離れていない所だから、あるいは体験発掘に出かけたのだろうか。


 いずれにしても、この骨については、筑波大学と福島県立博物館の連名で、7月16日に報道発表がされている。その内容がなかなかおもしろい。「白亜紀後期の東アジアでは、沿岸域で多様な体サイズのイグアノドン類が生息していたことを示している」という。


 報道発表によると、この化石が掘り出されたのは1999年。双葉層群足沢層で見つかった。ハドロサウルス類の胸骨と暫定的に報告されたものの、詳細な研究は行われずに、いわき市アンモナイトセンターで保管されていたという。それを筑波大学と福島県立博物館の研究者が2022年から、分類研究を開始し、部位の同定や分類を進めていた。
 研究の結果、イグアノドン類の中でも、棘胸骨類に属することが明らかになったとあった。この棘胸骨類とは、進化型のイグアノドン類やハドロサウルス類を含む鳥脚類の一群。ハドロサウルス類以外では日本のフクイサウルスなどがあげられるという。
 また、全身骨格が発見されているモンゴル産の近縁種(ゴビハドロス・モンゴリエンシス)とほぼ同じ大きさの胸骨であるため、全長は3メートル前後の小型のものと推定される、とあった。


 同じ足沢層からは、「ヒロノリュウ」(ハドロサウルス形類)と「オオヒサリュウ」(ハドロサウルス類)も見つかっている。どちらも中型と推定されている。このため、同じ地域でいろいろなサイズの個体が生息していたことが分かるという。
 この発表には、日本国内で産出されたイグアノドン類(ハドロサウルス類を含む)の一覧表が添付されていた。北海道むかわ町、小平町、岩手県久慈市、福島県広野町、いわき市、兵庫県洲本市、香川県さぬき市、熊本県御船町、天草市、長崎県長崎市、西海市、鹿児島県薩摩川内市の上甑島の計12自治体が報告されていた。むかわ町の「カムイサウルス・ジャポニクス」や、洲本市の「ヤマトサウルス・イザナギイ」も含まれる。歯だけが産出していて、体のサイズが分からないものも多いが、これまでに産出した化石は、すべて中型から大型だった。それだけにこの小型のサイズが貴重なのだ。

【福島県双葉層群 ワニ形類新鰐類 皮骨】

 その隣に置かれていたのが、広野町で産出した「ドロマエサウルス類」の歯。やはり白亜紀後期の双葉層群足沢層から発見されたものだ。草食恐竜がいれば、当然、肉食恐竜もいたという証拠だろう。ドロマエオサウルスは小型の肉食恐竜。体長約2メートル、体重約15キロと考えられている。本当に小さな歯だけなので、写真では分からないだろう。


 続いて並んでいたのが、哺乳類の下顎。広野町の双葉層群足沢層から2016年に産出した。歯は欠けているが、5つの歯槽に4つの歯根が残されている。東北地方では唯一の中生代哺乳類の化石だそうだ。これまた、拡大鏡付きで展示されているぐらいで、写真では分からないだろう。


 ほかに、2023年にいわき市の双葉層群玉山層から産出したワニ形類新鰐類皮骨もあった。皮骨は背中のウロコ内部に存在している。現在のワニ類より原始的な、新鰐類の一種だが、すでに半水生へと適応していたと考えられると、説明板には書かれていた。 

(取材・2026年9月18日)

福島県立博物館メモ

〒965-0807
福島県会津若松市城東町1ー25
0242ー28-6000

休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日に当たる場合は開館。翌火曜日を休館日とする。
祝日の翌日(祝日の翌日が土・日にあたる場合は開館)
館内整備休館日(2026年は6月23日、9月25日、12月22日)
年末年始 2026年度は2026年12月28日から2027年1月4日

午前9時半~午後5時(観覧チケットの販売は午後4時半まで)

常設展観覧料
一般・大学生           400円
高校生以下            無料

           (ホームページによる)

大恐竜展
 2026年7月11日~9月23日
 一般大学生 平日1700円 土日2000円
 高校生   平日1000円 土日1200円
 小・中学生 平日500円  土日 600円

2026年10月10日~2027年2月23日 たんば恐竜博物館
2027年3月   ~6月      FUJIなごや科学館

に巡回の予定