恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

外連味のない、勉強になる展覧会だった(福島県立博物館⑥ 大恐竜展から)

外連味のない、勉強になる展覧会だった(福島県立博物館⑥ 大恐竜展から)

【「アルバロフォサウルス」の頭骨(上)と産状骨格=ともにレプリカ】

 こうやって「大恐竜展」を振り返っていくと、外連味(けれんみ)のない、本当に勉強になる展覧会だったな、と思う。展示物は、モンゴルからやってきたものを除けば、これまで旅してきたどこかの博物館で見たり、あるいは見たはずのものが多かったが、ちゃんと意義づけされ、詳しい説明がつくと、また、見る目が違ってくる。また、最新のニュースを少しでも盛り込もうという、主催者の姿勢がよかった。


 再会した恐竜の化石のひとつが、「アルバロフォサウルス」の化石(レプリカ)だ。石川県白山市で産出し、白山恐竜パークでレプリカを拝見していたが、正直、その価値が今ひとつよく分からなかった。それをここでは、頭骨の産状だけではなく、3Dプリンターを使ってその頭骨要素を立体的に配置したものも展示されていて、とても興味深く見ることができた。
 「アルバロフォサウルス」は、「ザヴァケファレ」などの「堅頭竜類」の多様性の説明の中で登場した。説明板では、2009年の命名時には、「角竜類」と「堅頭竜類」を含むグループ「周飾頭類」の一種という分類にとどめられていたとある。
 図録によれば、その後、複数の研究者によって、いろいろな研究結果が出されているようだ。「原始的な角竜類の一種」という考えが支持され始めたが、2024年に「原始的な堅頭竜類」であることを示唆する研究結果が出された。2025年の「ザヴァケファレ」の研究では、系統解析で「角竜類に含まれる」という結果が出た、という。今後の研究が待たれる。

【「アパラチオサウルス」の全身骨格標本】

 さて、いろいろな恐竜がでてきたが、観覧者の多くの関心はやはり、ティラノサウルスやその仲間たちに向いていたようだ。他の恐竜にはあまり感心を示さなかった、けっこうな歳の人が、ティラノサウルスの前では、楽しそうに記念写真を撮っているのをみると、恐竜ブームとはなんなのだろうな、と考えさせられる。もちろん、悪いとは思わない。大きくて強い存在に憧れるのは、昔からの人間の性なのだから。


 ティラノサウルスの仲間で、展示されていたのは、まず入口に「アパラチオサウルス」の全身骨格(レプリカ)が置かれていた。米国にアラバマ州・ジョージア州・ノースカロライナ州から発見されている。獣脚類ティラノサウルス上科で、体長6・5メートルと推定されている。

【「アリオラムス」の全身骨格標本】

 まとめておかれていたのが、まず「アリオラムス」。モンゴルの白亜紀後期の産出。体長は約5~6メートルと中型サイズ。細長い吻部と鼻骨上の特記が特徴。次いで「タルボサウルス」。これも、モンゴルの白亜紀後期の産出で、頂点捕食者と考えられている。そして、「ティラノサウルス」。米国の白亜紀後期から産出している。


 この展覧会が素晴らしいのは、こうして展示するだけではなく、「ティラノサウルス研究最前線」という説明板を用意しているところだ。現在も新発見が相次ぎ、研究が進展しているという。近年は中型種の発見や再検討により、大型種と中型種の共存や、成長過程の違いによる形態差が明らかになっている。また、頭骨形態も多様で、頑丈で強い咬合力をもつタイプと、細長いタイプは異なる摂食様式を示し、ティラノサウルス類の進化の柔軟性と生態的多様性が明らかになりつつある、と説明している。


 蛇足だが、面白いと思ったのが、「ティラノサウルス」の全身骨格(レプリカ)の所有者。なんと読売新聞社なんだ。ジャイアンツからティラノサウルスまでなんでも、持っているんだな。普段は社屋に飾っているのかしらん。

【「タルボサウルス」の全身骨格標本】

【「ティラノサウルス」の全身骨格標本】

(取材・2026年9月18日)

福島県立博物館メモ

〒965-0807
福島県会津若松市城東町1ー25
0242ー28-6000

休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日に当たる場合は開館。翌火曜日を休館日とする。
祝日の翌日(祝日の翌日が土・日にあたる場合は開館)
館内整備休館日(2026年は6月23日、9月25日、12月22日)
年末年始 2026年度は2026年12月28日から2027年1月4日

午前9時半~午後5時(観覧チケットの販売は午後4時半まで)

常設展観覧料
一般・大学生           400円
高校生以下            無料

           (ホームページによる)

大恐竜展
 2026年7月11日~9月23日
 一般大学生 平日1700円 土日2000円
 高校生   平日1000円 土日1200円
 小・中学生 平日500円  土日 600円

2026年10月10日~2027年2月23日 たんば恐竜博物館
2027年3月   ~6月      FUJIなごや科学館

に巡回の予定