恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

恐竜と鳥類の関係も、くわしく説明して展示(福島県立博物館⑦ 大恐竜展から)

恐竜と鳥類の関係も、くわしく説明して展示(福島県立博物館⑦ 大恐竜展から)

【「始祖鳥」全身骨格標本】

 「大恐竜展」ではまだまだ、取り上げたい話題がいっぱいある。派手さはないが、奥の深い展覧会だった。
 「始祖鳥」の全身骨格標本(レプリカ)が展示されていた。ジュラ紀後期、ドイツで産出されたものだ。化石の残された羽毛と、爬虫類的な骨格から、鳥類と恐竜類の関係性を示唆するきっかけとなった化石だ。レプリカが主だが、普段から展示されている博物館が多い。


 興味深かったのが解説。2025年に14体目の化石が見つかった。これまで知られていなかった足の表面形態、構造や複雑な翼構造について明らかになったという。図録の中では、「始祖鳥が陸上生であることが示唆されている」とあった。

【「イクチオルニス」の全身骨格標本】

 次いで、白亜紀後期の「イクチオルニス」の全身骨格標本(レプリカ)が並んでいた。米国産のものだ。図録では、獣脚類アヴェイアレエ類真鳥類形類とある。


 ジュラ紀に獣脚類恐竜のデイノニコサウルス類に近縁なグループと分岐したのが、始祖鳥に代表される「アヴィアラエ類」。そこから高い飛翔性を持った「鳥胸類」が登場。さらに派生した「真鳥形類」になると、地上生や水生の種が現れるようになり、生態の多様化が起きた。そして、主に現代の鳥類の系統で構成される「新鳥類」が出現した。
 こうした進化は、白亜紀末の大量絶滅後に起こったものではなく、それ以前の白亜紀にかけて起きたものだった。


 新鳥類が白亜紀末の大量絶滅を乗り越えた要因は、いまだに不明だが、原始的な「新鳥類」に見られたであろう優れた神経系や摂食の柔軟性、地上生、短い産卵期などが仮説としてあげられるという。

 今では子どもでも知っている、鳥類の起源が恐竜であることも、学説にはいろいろと変遷があったことも、図録では指摘されていた。20世紀初頭、ゲルハルト・ハイルマンは始祖鳥が鳥類の祖先であることは認めたが、「鳥類がもつ叉骨が恐竜にはない」として、始祖鳥が恐竜起源であることを否定した。その後、1970年~80年代に白亜紀の獣脚類デイノニクスの手首の骨格構造を研究したジョン・オストロムは、始祖鳥とデイノニクスの間に複数の類似性を見いだし、鳥類の起源が恐竜であることを再び提唱した。その説は、ジャック・ゴードンの系統解析によっても支持されたという。

【「シノサウロプテリクス」の産状骨格標本】

 1990年代に入って、羽毛も残された恐竜化石の「シノサウロプテリクス」が中国の白亜紀の地層から報告され、鳥類の起源が恐竜であるという説は決定的になっていったと記していた。


 このように書いてもらえると、今までいろいろな博物館で見てきた標本の意味も分かる、というものだ。
 もちろん「シノサウロプテリクス」の産状骨格標本(レプリカ)も展示されていた。栃木県立博物館所蔵のもの。現地で見た覚えは確かにあるが、そこまでの説明はなかったように思う。筆者の見方が甘かったのかも知れない。

【ニワトリと胚】

 展示の最後の方には、現生種のニワトリとその胚が展示されていた。その説明によると、鳥類の骨盤は胚発生の初期にはワニや原始的な獣脚類に似た形を示し、その後、発生に伴って鳥類特有の形は進化するという。この過程は鳥類進化の歴史を反映していると考えられている。

 そりゃそうだろうとは思うが、改めて驚いた。

(取材・2026年9月18日)

福島県立博物館メモ

〒965-0807
福島県会津若松市城東町1ー25
0242ー28-6000

休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日に当たる場合は開館。翌火曜日を休館日とする。
祝日の翌日(祝日の翌日が土・日にあたる場合は開館)
館内整備休館日(2026年は6月23日、9月25日、12月22日)
年末年始 2026年度は2026年12月28日から2027年1月4日

午前9時半~午後5時(観覧チケットの販売は午後4時半まで)

常設展観覧料
一般・大学生           400円
高校生以下            無料

           (ホームページによる)

大恐竜展
 2026年7月11日~9月23日
 一般大学生 平日1700円 土日2000円
 高校生   平日1000円 土日1200円
 小・中学生 平日500円  土日 600円

2026年10月10日~2027年2月23日 たんば恐竜博物館
2027年3月   ~6月      FUJIなごや科学館

に巡回の予定