発見30周年の「トバリュウ」 最新の研究成果を披露(福井県立恐竜博物館・竜脚類展③)
【「トバリュウ」の右上腕骨】
全国15市町から産出している竜脚類の化石。そのうち、学名が付いているのは「タンバティタヌス」と「フクイティタン」だけだ。ちょっと寂しい気もする。この次に全体像が明らかになりそうなのは、なんといっても2026年に発見30周年を迎えた三重県鳥羽市産出の「トバリュウ」(白亜紀前期)だろう。
三重県総合博物館を訪ねた時に、「トバリュウ」関連の展示に「なんだか消化不良の気分だった」と書いたが、この福井県立恐竜博物館・竜脚類展では、「世界初公開」と称した化石3点も含めて化石が13点とたっぷり展示してあった。また、図録では計3ページも使って紹介してあり消化不良も改善された気分だ。
説明板によると、現在、三重県総合博物館と福井県立大学、福井県立恐竜博物館の共同研究が進められており、発掘されたがどの部位なのか分からない化石の調査が行われているという。この展覧会ではその成果も披露されているという。「世界初公開」とされたのは、左大腿骨、坐骨、尾椎のうちの1点。「世界初公開」というとオーバーに聞こえるが、大変な努力の末に同定にこぎ着けたようだ。

【「トバリュウ」の左上腕骨】
図録を読むと、「トバリュウ」の研究がいかに大変だったかがよく分かる。
まず発掘がとても大変だったようだ。1996年7月14日に、鳥羽市安楽島町の海岸で見つかったが、満潮時になると露頭が海水に覆われるような場所で、骨化石を含む地層はほぼ垂直に近い状態だった。竜脚類ならではの大きな化石ばかりだから、発掘作業は困難を極めたようだ。「タンバティタヌス」の発掘現場とはずいぶん、違ったようだ。
発掘当時、非常に多くの骨化石が採集されたが、厳しい発掘状況のため、破片状になっているものが多く含まれていた。このため、三重県総合博物館には未クリーニングのものや未同定の標本が数多く残されているという。

【「トバリュウ」の左橈骨】
研究の結果、「トバリュウ」は歯や尾椎の特徴などから、ティタノサウルス形類に含まれることが明らかになった、とあった。東アジアにおけるティタノサウルス形類の進化を考える上でも、重要な資料になると期待されているという。
現在、発掘現場では骨化石含有層はすべて堀削されてなくなっている、と記してあった。
現地をぜひ見に行きたいな、と思った。

【「トバリュウ」の右脛骨】

【「トバリュウ」の右脛骨】

【「トバリュウ」の右腓骨】

【「トバリュウ」の右大腿骨】

【「トバリュウ」の左大腿骨】

【「トバリュウ」の坐骨】

【「トバリュウ」の尾骨】

【「トバリュウ」の尾椎】

【「トバリュウ」の尾椎】

【「トバリュウ」の尾椎】
(取材・2026年10月19日)
福井県立恐竜博物館メモ
〒911-8601 福井県勝山市村岡町寺尾51−11
電話 0779ー88ー0001
休館日 第2・第4水曜日および12月31日から1月1日
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時半まで)
観覧料(事前購入が原則)
一般1000円
高・大学生800円
小・中学生500円
70歳以上500円
(利用のご案内による)
「竜脚類」展
2026年7月10日〜11月3日
一般 1800円
高校・大学生 1600円
小・中学生 1000円
70歳以上 1000円