恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

秩父のパレオパラドキシアは国天然記念物(埼玉県立自然の博物館①)

秩父のパレオパラドキシアは国天然記念物(埼玉県立自然の博物館①)

【パレオパラドキシアの実物大の復元像】

 熊谷駅から秩父鉄道に乗り54分で、長瀞駅の次の上長瀞駅に着く。そこから約5分歩くと、埼玉県立自然の博物館だ。博物館に入る前にまず、道路から見えるのが、ちょっと痩せたカバのような動物の像だ。これまでに何度も登場してきた「パレオパレドキシア」の、実物大の復元モニュメントだ。これまでにも絵や小さな模型では見てきたが、実物大の復元像はこれが初めてだ。体長約2・5メートル。海中で泳ぐ姿を想定しているのだろう。決して、怖くは見えない。向きによってはけっこうかわいく見えるのだが、どうだろう。


 ここ秩父の「パレオパラドキシア」は、ただの古生物ではない、2016年に国天然記念物に指定されている。この周辺、秩父盆地には、約1700万年前に生まれて1500万年ほど前に消滅した「古秩父湾」があった。この太古の海の記憶を残す地層と、その証言者である化石群が、「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」として、国天然記念物に指定されたのだ。哺乳類の化石や新生代の化石、そして化石群としての指定は初めてだったという。

【パレオパラドキシア3体】

 博物館内に入る、少し奥にあるのが「パレオパレドキシア」の群れだ。3頭いるので、「パレオパラドキシア」といえど迫力は十分だ。向かって左から「般若標本」「大野原標本」「泉標本」とある。また、復元した姿勢が違い、左から「歩く」「泳ぐ」「食べる」となっている。

【パレオパラドキシア3体】

 博物館内の説明板などによれば、般若標本は1981年5月に埼玉県小鹿野町般若の砂利採取場から産出した。頭骨と手足の一部を除くほかほぼ完全な骨格が残っていた。大野原標本は1972年に埼玉県秩父市大野原で地元の高校生らによって発見され、75年と77年に産出された。日本で2番目に発見された全身骨格で、頭から腰までの骨がほぼ完全に残されている。般若標本と大野原標本は、別に実物が展示されているほか、それぞれ産状骨格標本が展示されていた。興味深く見ることができた。

【般若標本の実物】

【般若標本の産状模型】

【大野原標本の実物】

【大野原標本の産状模型】

 念のためだが、「泉標本」は岐阜県土岐市泉町から1950年に産出した標本がもと。全体の7割ほどが見つかり、世界で初めて見つかった全身骨格の標本として国立科学博物館に所蔵されている。レプリカは岐阜県瑞浪市化石博物館でも展示されていた。瑞浪市の方では口を大きく開けた「歩行型」で組み立てられていたので、こことはちょっと違った印象だった。


 展示されていたパレオパラドキシアはこれだけではない。埼玉県皆野町大淵、秩父市栃谷、小鹿野町三山、秩父市寺尾でそれぞれ産出した脊椎骨や頭骨などが並んでいた。
 説明によると、パレオパラドキシアの仲間の化石は国内では約30カ所から約50標本が報告しているが、うち埼玉県では8地点から約20標本が報告されているという。いかに埼玉県がパレオパラドキシア王国であるかが分かる。

(取材:2026年4月29日)

埼玉県立自然の博物館

〒369-1305 埼玉県秩父郡長瀞町長瀞1417-1
電話 0494ー66ー0404
休館日 
月曜日(祝日、振替休日、ゴールデンウィーク、11月14日、7月・8月の月曜日は開館)
年末年始(12月29日から翌年1月3日)
午前9時から午後4時半まで(入館は午後4時まで)
7月・8月は午後5時まで(入館は午後4時半まで)

入館料
一般        200円
高校生・大学生   100円
中学生以下無料。

              (博物館入館のしおりによる)