岐阜県大垣市の金生山にあるペルム紀・生物進化の謎(国立科学博物館⑤)
【岐阜県大垣市で産出した「シカマイア」の化石】
国立科学博物館の日本館3階北翼の「日本列島の生い立ち」の展示室。そんな広くはない展示室なのに、前回は完全に見逃していた展示があった。
徳島県立博物館の回でも紹介した岐阜県大垣市の金生山の「赤坂石灰岩化石」のことだ。ご縁のある土地なので、その近くは何度も通っている。化石が採れるのももちろん知っていた。なんと、その土地から採れる化石が、「ペルム紀の生物進化の謎」と国立科学博物館で紹介されていた。いやはや、びっくり。

【赤坂石灰岩化石群を紹介したコーナー】
説明板によると。赤坂石灰岩は山口県秋吉台の石灰岩と同じように大洋の火山島での上で形成され、それがプレートの上に乗って、アジア大陸に衝突し、付加されたものだ。赤坂石灰岩からは巻き貝、二枚貝やウミユリなど、豊富な化石群が産出するが、「ナティコプシス」「ベレロフォン」や「アルーラ」などは、同時代の他地域の類似種に比べて著しく大型の巻貝や二枚貝なのだそうだ。そしてその巨大化の要因はいまだ、なぞだと記されている。
この一角に並べられている巻貝や二枚貝は確かに大きい。その一つが「バスロトマリア」。角のないサザエに似たような貝だ。千葉県いすみ市の大原沖で採れるサザエも、これぐらい大きいなと思った。なんの関係もない話でごめんなさい。大原沖のサザエはとても美味しい。サザエ似の巻貝もいるのだから、アワビ似の貝もいたのだろうか。現地には「金生山化石館」という施設もあるようだから、なるべく早く訪ねることにしよう。

【岐阜県大垣市から産出した「アルーラ」】
赤坂石灰岩化石を紹介したコーナーの一角には、岐阜県博物館の回でも紹介した「シカマイア」の化石がいくつか並んでいた。こちらは「風変わりな巨大化石」と紹介されていた。金生山や岐阜県本巣市根尾谷のペルム紀の石灰岩から産出する巨大化石だ。
ペルム紀は約2億9900万年前~約2億5100万年前、生物多様性が非常に高まった古生代最後の時代。しかし、終わりには地球史上最大級の大量絶滅があった。

【岐阜県本巣市根尾谷から産出した「シカマイア」】
シカマイアは当初、所属不明であったが、その後の研究で二枚貝の仲間であることが分かった。大きなものでは殻の最大長が1メートルを超える。石灰岩からこの化石を完全な形で取り出すことは困難だと言われてきた。
しかし、科博のウェブを見ていると、2025年7月30日の日付で「ペルム紀の海のモンスター、シカマイアを復元する」との記事が見つかった。著者は今では名誉研究員となられた加瀬友喜さん。お会いしたことはないが、「モシリュウ」の発見者だと思うと親しみがわく。貝化石を用いた進化古生物学が専門だという。それによると、現在は筑波大学院生による地道な剖出作業の結果、その姿形がはっきりとしてきたという。未研究のシカマイアの仲間の化石がいくつかあり、今後の研究でその進化や絶滅の謎が明らかになるでしょう、と結んでいた。これからが、楽しみだ。
ちなみに、「シカマイア」という名称は、古生物学者の鹿間時夫さん(1912年~1978年)に由来する。日本古生物学会長も務めた人だ。
(取材・2026年5月2日)
国立科学博物館メモ
〒110-8718 東京都台東区上野公園7ー20
ハローダイヤル 050-5541-8600
休館日
毎週月曜日(日・月曜日が祝日・休日の場合は火曜日)12月28日から1月1日
くん蒸期間(6月下旬ごろ)
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時半まで)
常設展入館料
一般・大学生630円
小・中・高校生
並びに18歳未満と
65歳以上
障害のある方とその付き添いの方1名は無料
(館内ガイドによる)