恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

日本海ができたころ、「アロデスムス」が泳いでいた(国立科学博物館⑥)

日本海ができたころ、「アロデスムス」が泳いでいた(国立科学博物館⑥)

【アロデスムス】

 国立科学博物館の日本館3階北翼の「日本列島の生い立ち」の展示室の続き、新生代中新世(約2300万年前から約500万年前)の話です。
 大陸と日本列島の間にあった地溝が、2000万年前から1500万年前ごろにかけて広がり、そこに海が侵入して「日本海」が誕生した。
 そのころの日本海に、最初にすみついた海棲哺乳類のひとつが「アロデスムス」だった。前肢が大きくてアシカのようでもあるが、実際にはアザラシと共通の祖先を持つ、絶滅した系統群だ、と説明板にある。温暖な外洋で魚やタコ、イカなどを食べていたが中新世中期後半の冷温化に伴って、束柱類とともに絶滅したという。石川県珠洲市で産出した全身骨格模型が展示されていた。

【岐阜県土岐市産出のパレオパラドキシア】

 その前に展示されていたのが、おなじみの束柱類である「パレオパラドキシア・タバタイ」と「デスモスチルス・ジャポニクス」だ。


 「パレオパラドキシア」は、岐阜県土岐市泉町で産出した全身骨格だ。埼玉県立自然の博物館や瑞浪市化石博物館でもこれをもとにしたレプリカが展示されていた。
 説明板では、日本海が誕生したちょうどそのころ、日本から北アメリカにかけての太平洋沿岸に生息していたとある。温暖な海域に分布し、河口近くの内湾で生活していたと考えられる、とある。
 添えられた復元画は歩行している姿を描いたものだが、なぜかこれまで見てきた中でいちばんかわいらしく描いているように、筆者には見える。

【岐阜県瑞浪市産出のデスモスチルス】

 「デスモスチルス」は岐阜県瑞浪市から産出した頭部が展示されいた。説明板によれば、極端に面長でありながら歯の数は減少しており、現在の哺乳類で類似するものは全く存在しないとある。
 確かに、添えられた復元画はなんとも表現のしようがない顔をしている。なさけないおじさんにも見えるし、やさしそうなおばさんにも見える、貴重な復元画だ。

【淡水魚の化石】

 ここで日本館を離れ、地球館へ足を進めよう。
 筆者が大好きな化石というか、化石の板が廊下に展示されている。
 米国ワイオミング州産の淡水魚化石だ。
 約5000万年前の始新世前期、ワイオミング州の南西部には大きな湖が存在し、そこに堆積した地層からは多様な昆虫や魚、カエル、トカゲ、ワニ、カメ、鳥、植物などの化石が大量に発掘されているという。
 この板は、この地層の一部を切り取ったもので、全面に魚の化石を見ることができる。ほとんどの魚はニシン科の魚だそうだ。その中で、スズキなどに近縁の魚も2匹だけ混じっている。その魚を探すのが楽しい。
 始新世にはいろいろな魚が海生から淡水生へと適応していったのだそうだ。この化石板はそれを例示している。

 何度見ても飽きない。国立科学博物館に来るたびに、この化石板の前で足が止まってしまう。
 化石の世界は恐竜に限らず、本当に面白い。

【淡水魚化石の部分】

 (取材・2026年5月2日)

国立科学博物館メモ

〒110-8718 東京都台東区上野公園7ー20
ハローダイヤル 050-5541-8600

休館日
毎週月曜日(日・月曜日が祝日・休日の場合は火曜日)12月28日から1月1日
くん蒸期間(6月下旬ごろ)
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時半まで)

常設展入館料
一般・大学生630円 
小・中・高校生
並びに18歳未満と
65歳以上
障害のある方とその付き添いの方1名は無料

           (館内ガイドによる)