恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

美しい恐竜の全身骨格標本をじっくりと味わおう(国立科学博物館⑦)

美しい恐竜の全身骨格標本をじっくりと味わおう(国立科学博物館⑦)

【トリケラトプスの全身骨格標本】

 前回、国立科学博物館に来たときには、その展示を「格調高い」と表現した。今回、改めて訪れて、その展示をどれも「美しい」と感じた。中でも、地球館地下1階の「地球環境の変動と生物の進化ー恐竜の謎を探る」展示室に並べられている恐竜の全身骨格標本が美しいと感じた。これまで約20館ほどの恐竜を展示する博物館を見てきたが、国立科学博物館は数としてはそれほど多いわけではない。だが、美しさでは他の博物館に負けないと思う。標本自体が美しいのか、組み立て方が美しいのか、展示の仕方が美しいのか、光の当て方が美しいのか、あるいはそのすべてが美しいのか。難しい話は抜きに、この場所では美しさをじっくりと味わいたいと思う。

【ティラノサウルスの全身骨格標本】

 恐竜の全身骨格と言えば、どこでもまず展示されているのが、「ティラノサウルス」と「トリケラトプス」だ。国立科学博物館も例外ではない。でも、どちらも他館とはちょっと姿が違うな、とは感じませんか。
 まず、「ティラノサウルス」。ここの標本は、しゃがんだ姿で「トリケラトプス」を待ち伏せしている様子を復元してある。しゃがんだ姿は世界で初めての試みだそうだ。
 なぜ、しゃがんでいるのかの説明が面白い。「短い前あし」の存在理由を説明するためだという。「ティラノサウルス」の前あしは短かすぎて何の役にも立たないとさえ言われていたという。しかし、ある研究で、ティラノサウルスがしゃがんでいて立つときに、その短い前足を使って地面につけないと速やかに立ち上がれないと明らかになったという。
 そう言われて見てみると。
 さあ、どうだろう。でも、そこまで考えて展示されると思うと、楽しさが倍増する。

【地層の下側から見たトリケラトプスの化石】

 「トリケラトプス」については「骨格復元研究」という説明板が用意されていた。前足はひじを横に突き出すような復元もあったが、実物化石の研究で、横には突き出していないことが分かり、その成果を生かして新しく復元したという。
 実物化石もすぐ横に展示されている。頭部と胴体がつながってみつかった非常に珍しい標本だったという。横に寝た形になっているのは、発見されたときに地層の表面に出ていた左半身が風化によってほとんどなくなっていたため。体の下側にあった右半身を岩石から剖出し、尻尾を別の標本に基づいて復元して展示している。標本を地層の下側から見ていることになるという。

【ヒバクロサウルスの親子】

 「ヒパクロサウルス」は親子が寄り添う姿で、再現されている。

【パキケファロサウルス】

 「パキケファロサウルス」の全身骨格は茶色と白色が混ざった形で組み立てられていた。実物の化石は茶色、復元した部分を白く塗って組み立てられていた。「実物部分が少ないように見えるかも知れませんが、『パキケファロサウルス』のなかでは世界でももっとも実物部分が多い標本です」と断っているのが興味深い。ただし、頭部は組み立てるのが難しかったのだろう、実物はガラスケールに入れて展示し、レプリカを使って組み立てている。

【デイノニクス】

 「デイノニクス」は、牛か豚の丸焼き風に展示されている。ぐるぐる回して、いろいろな角度から見てもらおうという工夫だ。
「バンビラプトル」は発掘から、クリーニング、研究、骨格復元と展示までのプロセスごとに見せている。

【バンビラプトルの産状】

【バンビラプトルの全身の骨】

【バンビラプトルの全身骨格標本】

【バンビラプトルの復元標本】

 ずいぶん久しぶりに恐竜の話でした。

 (取材・2026年5月2日)

国立科学博物館メモ

〒110-8718 東京都台東区上野公園7ー20
ハローダイヤル 050-5541-8600

休館日
毎週月曜日(日・月曜日が祝日・休日の場合は火曜日)12月28日から1月1日
くん蒸期間(6月下旬ごろ)
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時半まで)

常設展入館料
一般・大学生630円 
小・中・高校生
並びに18歳未満と
65歳以上
障害のある方とその付き添いの方1名は無料

           (館内ガイドによる)