恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

「石炭の森」の時代に風変わりな鳥がいた(いわき市石炭・化石館④)

「石炭の森」の時代に風変わりな鳥がいた(いわき市石炭・化石館④)

【イワキクジラの頭骨など】

 いわき市石炭・化石館の化石展示室は、首長竜や恐竜以外にも興味深い化石がいくつも並んでいた。ここで初めて見るような化石も多かったように思う。もちろん、筆者がこれまで訪ねた博物館で、見逃していただけなのかも知れないが。


 それが「プロトプテルム」類(ペンギン様鳥類)と「骨質歯鳥類」だ。
 いわき市を中心とした常磐炭田は、本州最大の埋蔵量をもっていた。最盛期には130あまりの炭鉱があって、戦後の経済復興に大きく貢献した。今でも約11億トンも地下に眠っているという。この石炭は、約3500万年前の古第三紀斬新生に栄えた植物の化石だ。この2種の鳥は、この石炭の森の時代に栄えた鳥だ。
 まず、「プロトプテルム」類。復元した全身骨格標本が展示されていた。ペンギンに似た体型の鳥で飛べないが、ペリカンの仲間だという。この化石がいわき市の常磐炭田の石炭を含む約3500万年前の地層から産出している。ほかに、同じ時代の北九州の炭田の地層、北米西海岸で見つかっているという。化石展示室と学習標本室に上腕骨や中足骨、大腿骨などの化石が展示されていた。

【「プロトプテルム」類(ペンギン様鳥類)】

【骨質歯鳥類の上顎吻部(くちばし)】

 同じ地層からは、「骨質歯鳥類」の化石も見つかっている。上下のくちばしに、歯のようなぎざぎざを持つことからこの名前がついた。翼を広げると最大で6メートルを超えるという巨大な鳥類だ。アホウドリのような生活をしていたが、ペリカンに近い仲間だという。化石展示室には尺骨、上顎吻部(くちばし)の化石、学習標本室には尺骨が展示されていた。くちばしの化石はギザギザになっているのがよく分かるが、これは歯ではなく、骨が変形したものであるという。


 同じ地層からは現生種の「ウ」や「ワシタカ」類、「ミズナギドリ」「カツオドリ」などの多くの海鳥の化石も見つかっている。

【ステゴロフォドンの下顎骨】

 いわき市から産出する化石はまだまだある。この時代のあと約1700万年前には「イワキゾウ」が、約400万年前には「イワキクジラ」が生息していたという。どちらも愛称だ。


 「イワキゾウ」は、ゾウ目ステゴドン科の「ステゴロフォドン」が学名。上顎だけではなく、下顎からも牙がでているのが特徴だ。いわき市のいわきニュータウンの造成工事中に1985年に発見された下顎骨が展示されていた。きれいに歯が並び、先端には切歯(牙)が伸びている。いわき市では1971年に臼歯の化石が発見されて以来、複数の化石が産出されているという。

 「イワキクジラ」は数体のいわき市産出のクジラ化石の総称。いわき市の福島県立四倉高校(現在は福島県立いわき商業情報高等学校四倉校舎)の校庭で発見された。16体以上といわれ、おもに「ナガスクジラ」類だが、「コククジラ」類や新種と思われるものが含まれている、とあった。
 あちらこちらに展示されている。エントランスには「イワキクジラ 第7標本」の名で、産状標本が展示されていた。化石展示室には頭骨、脊椎及び上腕部が並んでいた。

【イワキクジラの脊椎と上腕部】

【プロトプテルム類の大腿骨】

【プロトプテルム類の上腕骨と中足骨】

(取材・2026年5月8日)

いわき市石炭・化石館

〒972-8321 福島県いわき市常磐湯本町向田3番地の1
0246-42-3155

休館日
毎月第3火曜日
(当日が国民の祝日の時は翌日)
1月1日
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時半まで)

入場料
一般       660円 
中・高・大生   440円
小学生      330円

           (館案内による)