恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

湯本第6坑人車坑々口に昭和への感慨(いわき市石炭・化石館⑤)

湯本第6坑人車坑々口に昭和への感慨(いわき市石炭・化石館⑤)

【トクソケリス】

 いわき市石炭・化石館にはまだまだ、興味深い展示がある。外国産の化石の展示も少なくないのだが、やはりいわき市自体が国内有数の化石産出地ということが大きいのだろう。


 時代も種類もバラバラに紹介すると。
 1階ではまず、「トクソケリス」の化石が美しい。白亜紀後期のものでアメリカから産出した。中生代の代表的なウミガメ化石だ。
 「マメンチサウルス」の手前に吊されているのが、「ミンククジラ」の全身骨格標本。やはり、大きい。
 翼竜の「アンハングエラ」の全身骨格標本が止まった形で展示されていた。白亜紀後期のものでブラジルで産出した。他の博物館では吊されて展示されていることが多いので、この形は珍しく感じる。頭、そして歯が大きい。
 2階では、「炭獣(たんじゅう)類」が紹介されていた。石炭のもとになった植物が生い茂っていた時代に生息していた動物。今ひとつ説明がよく分からないが、復元図はイノシシによく似ている。いわき市では1957年に臼歯の化石が炭鉱の石炭層近くで発見され、「ツチヤタンジュウ」と名付けられたという。

【湯本第6坑人車坑々口】

 展示の後半は、石炭関係だ。さらにその後半の模擬坑道の中の展示はわかりやすくて面白い。石炭という資源をなんとか生かせないものかとしみじみ思う。
 途中で館外施設の、「昭和の杜六抗園」があった。少し階段を上るが、ぜひ多くの人に見て欲しい施設だ。
 説明板によると、1947年8月5日、昭和天皇がこの地を訪れられた。炭鉱の坑外施設をご見学のあと、「湯元第六抗人車抗」から人車で入抗され、坑口より1400メートル、海水準下400メートルで降りられ、坑道内を歩かれたあと坑内作業員約150人とお会いになり、激励し、お言葉をかけられた、とある。


 その入り口と復元された人車が展示されていた。そのシンプルな姿にびっくりする。木製のそれこそ小学校の机と椅子を並べて斜めにしてつなげたような人車だ。
 海水準下400メートルというのも想像を超える深さだ。模擬坑道は「地下約600メートル」という設定だが、小心者の筆者などけっこう怖く感じたものだ。1946年1月1日に「人間宣言」をしたあとの、昭和天皇の「お覚悟」とでもいうべきものを筆者は感じた。この施設が実は、このいわき市石炭化石館で一番、感慨にふけった場所だった。なお、炭鉱の名前は、説明板により「湯元」と「湯本」の2種類だった。どちらが正しいのだろうか。

【D51946】

 館外に出る。入り口から少し離れた駐車場脇に、蒸気機関車の「D51946」が展示されていた。「デゴイチ」の展示は珍しくもないが、きれいに保存されているのがうれしかった。

【ミンククジラ】

【アンハングエラ】

【いわき市産出のタンジュウ類の骨】

【ツチヤタンジュウの臼歯】

  (取材・2026年5月8日)

いわき市石炭・化石館

〒972-8321 福島県いわき市常磐湯本町向田3番地の1
0246-42-3155

休館日
毎月第3火曜日
(当日が国民の祝日の時は翌日)
1月1日
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時半まで)

入場料
一般       660円 
中・高・大生   440円
小学生      330円

           (館案内による)