恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

ホロタイプ標本もいっぱい。南相馬は「化石の宝庫」(南相馬市博物館②)

ホロタイプ標本もいっぱい。南相馬は「化石の宝庫」(南相馬市博物館②)

【ハラマチクジラ】

 南相馬市博物館のつづきです。
 南相馬市は化石の宝庫だ。市内の地層分布図を見ると、古生代から中生代、新生代と地層がきれいに分布している。それぞれの地質時代の化石が産出している。
 恐竜の足跡の化石の近くには、大きなクジラの背骨の化石が並んでいた。「ハラマチクジラ」の愛称で呼ばれている。南相馬市原町区三島町で1965年と1985年に、約200万年前の地層から産出したものだ。この時代、南相馬市周辺は海だった、という。

【ダルマシセラス・ムネオイ】

【アウラコスフィンクトイデス・タイライ】

 展示室を出ると、この日はエントランスホールにも多くの化石が展示されていた。(その後、展示位置は変わったと思われます。)
 新たに市の指定天然記念物になったアンモナイトの新種のホロタイプ標本などが並べられるとともに、南相馬市の古生物学研究に寄与されたが、2024年に亡くなった佐藤正氏(元・深田地質研究所理事長)の業績を顕彰する展示だった。
 展示されていたのは「ダルマシセラス・ムネオイ」や「アウラコスフィンクトイデス・タイライ」など。名前をあげた二つは、どちらも南相馬市鹿島区在住で恐竜の足跡の発見者でもある平宗雄さんが同市内で採集したもので、平さんの名前をとって、新種名が付けられている。いずれもホロタイプ標本だという。学術的価値が極めて高いと説明していた。
 同市内からはこれ以外にも、タイプ標本が数多く産出しているという。2024年4月1日付けの同博物館のウェブの記事を見ると、土博物館では8点のホロタイプ標本が収蔵されているという。今ではもっと多いのかも知れない。

【原町無線塔の頭部】

 博物館の外に出る。入り口前に展示されていたのが、「原町無線塔」の頭部だ。鉄製でなんとも無骨なものだが、これが初期の無線通信を支えたものだと思うと、感慨にふけってしまう。


 この無線塔は米国との無線通信のために、1921年に建てられたものだ。南相馬市のウェブによると、鉄筋コンクリートづくりで高さ201・16メートル。当時としてはエッフェル塔に続く世界で2番目の高さだったという。
 当時はごくごく長波を使っての無線通信で、展示の説明によれば出力は350キロワットあるいは500キロワットだったというから驚きだ。1923年9月1日の関東大震災の時には、この無線塔から米国・サンフランシスコへその惨状が打電されて、世界中に知らされたという。


 ただ、技術の進歩はすさまじく、すぐに短波通信の時代となり、1933年には完全に使われなくなったという。その後も無線塔は残っていたが、風化劣化が進んだために1981年から1982年にかけて解体・撤去された。


 その短波通信も今では、業務用にはほとんど使われなくなり、携帯電話で気軽に衛星通信が使われる時代だ。でも、100年以上前に、時代のl先端をいく施設がこの地に作られたかと思うと、とてもうれしくなる。
 ちなみに筆者は1971年開局のアマチュア無線家である。細々とではあるが、今も続けているし、旅に出るときには小さな無線機を持っていくことは欠かさない。この日の晩、ホテルの7階から430メガヘルツ、波長にすると約0・7メートルで、交信を呼びかける「CQ」を出してみた。
 残念ながら、応答はなかった。

【原町無線塔の模型と使われていた碍子】

(取材・2026年5月9日)

南相馬市博物館

〒975-0051 福島県南相馬市原町区牛来字出口194
0244-23-6421

休館日
毎週月曜日
(月曜日が「国民の祝日に関する法律」に規定する休日の場合は、翌平日)
12月29日~1月3日
午前9時から午後4時45分まで(入場は午後4時まで)

観覧料
一般        300円 
高校生       200円
小・中学生     100円

           (ご利用案内による)