恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

数多くの恐竜化石を産出している石川県の代表的な施設(白山恐竜パーク①)

数多くの恐竜化石を産出している石川県の代表的な施設(白山恐竜パーク①)

【アルバロフォサウルス・ヤマグチオロウム】

 石川県では1982年以来、数多くの恐竜の骨や足跡の化石が発見されている。この県も日本有数の恐竜王国であることは間違いない。その成果などを展示しているのが、白山の山麓にあるこの白山恐竜パーク白峰だ。金沢駅から自動車で1時間半もかからない。


 石川県産出の恐竜が並んでいたのが、一番奥の部屋だ。2009年に論文が発表された「アルバロフォサウルス・ヤマグチオロウム」を初め、「カガリュウ」「シマリュウ」「オオタリュウ」「オオアラシリュウ」「クワジマリュウ」「マツオシラミネリュウ」と愛称がついている恐竜が並ぶ。他に、イグアノドン類の腓骨(足の骨)やオヴィラプトロサウルス類の末節骨(指の先端の骨)、ティラノサウルス類の歯が目についた。別の場所には、竜脚類の歯、というものもあった。白山市の白山市産出化石ニュースを見ていると、他にも産出している化石があるようだが、筆者には見つけられなかった。

【イグアノドン類の腓骨】

 この地にこういう恐竜を展示する施設ができたというのも、この施設とは手取湖(手取川ダム)を挟んで対岸にある通称「桑島化石壁」(白亜紀前期)から、数多くの恐竜化石が産出しているからだろう。


 「桑島化石壁」は国道157号からも見ることができる。1874年にドイツのJ・J・ライン博士が白山に登り、その帰り道に当時の白峰村桑島から植物化石を採取した記録がある。それが桑島化石壁に近いところだったと推測されている。1957年には「手取川流域の珪化木産地」として国の天然記念物に指定されている。現在は危険なため、近づくことはできないそうだ。


 この桑島化石壁で最初に恐竜の歯が見つかったのが1982年。福井県の女子中学生が壁から落ちた石を採集し、その内部に化石を見つけた。1985年にその子のいとこが、この化石を福井市自然史博物館に持ち込んだ。さらに当時の福井県立博物館で研究されて、恐竜の歯であることが判明。1986年に愛称「カガリュウ」として発表された。
 「カガリュウ」は、肉食恐竜の獣脚類。歯の縁には肉を切り裂くための鋸歯とよばれるギザギザがついている。しかし、それ以外の特徴がみつかっていないため、それ以上の分類はできていないという。


 しかし、「カガリュウ」は、手取層群(てどりそうぐん)から初めて発見された恐竜化石として大きな意味を持っている。
 手取層群は約1億7000万年前から約1億1000万年前に堆積した地層で、石川県・福井県・富山県・岐阜県などに分布している。この発見が、福井県での恐竜発掘調査の大きな後押しとなったことは間違いないだろう。
 この初めて発見された恐竜の歯は、ここではなく福井県立恐竜博物館の石川県のコーナーで展示されていた。


 石川県産出の恐竜化石でただ一つ、学名がついているのが「アルバフォサウルス」。2009年9月発行の米国古脊椎動物学会誌に論文が掲載された。

 1998年に桑島化石壁で発見された。その後の研究で新属新種とされた。頭骨長は約10センチ、全長は約1・3メートル前後と推定されている。化石発見当初は鳥脚類と考えられていたが、その後、色々な考えが出てきているようだ。いずれにしろ追加標本が産出しないことには結論は出ないのだろう。
 展示されていたのは、実物をCTスキャンして得られたデータをもとに、3Dプリンターで打ち出された模型だ。

【デスモスチルスの臼歯と牙】

 他に面白い化石として米国・カリフォルニア中部で産出した「デスモスチルス」の臼歯と牙が展示されていた。日本で産出される標本とは種が違うといい、確かにずいぶん感じが違う。
 また、「ファコブス」という古生代の三葉虫も展示されていた。

【ファコブス】

(取材・2026年5月26日)

石川県・白山恐竜パーク白峰

〒920-2502 石川県白山市桑島4号99番地1
076-259-2724

休館日
月曜日(祝日の場合は翌日)
12月から3月は冬季休館
午前9時から午後4時半まで(入館は午後4時まで)

観覧料
大人        520円
小中高生      200円

           (利用案内による)