恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

ジュラ紀前期の恐竜足跡の化石を展示(長野県・小谷村郷土館①)

ジュラ紀前期の恐竜足跡の化石を展示(長野県・小谷村郷土館①)

【中生代ジュラ紀の恐竜の足跡】

 小谷(おたり)村は長野県の北西端にある。すぐ、北側が新潟県糸魚川市だ。「塩の道」やスキー場でも有名なところだが、ここでも恐竜の足跡の化石が見つかっている。しかも見つかったのは、約1億9000万年前の中生代ジュラ紀前期の来馬(くるま)層群と呼ばれる地層だから、日本最古といっていいのだろう。


 その足跡の化石の実物と、レプリカが展示されているのが、「小谷村郷土館」だ。明治初期に建てられた茅葺き入母屋造りの民家で、村役場として使われてきたが、1973年に郷土館として改修された。その後、1999年に再改修されている。


 恐竜足跡化石は、その郷土館に入ってすぐのところに置かれていた。手前に、3本の指がはっきりと分かる3つの足跡の化石の実物切り出し標本。その裏側には垂直の岩盤に確認された6つの足跡すべてを、レプリカにして展示している。標本の足跡は、確かにくっきりと分かるが、レプリカの方は光線の加減もあってか、少々、分かりにくかった。

【恐竜の足跡が確認された岩盤のレプリカ】

 説明板や小谷村教育委員会の「恐竜足跡化石調査報告書」(2000年2月29日発行)によれば、1頭の恐竜の歩行跡の可能性が高い、とある。足跡は長さが20センチ前後、幅が17センチ前後。基本的に3本指で、尖った爪あとも確認されている。小型の獣脚類の足印と考えられる、とある。


 この足跡化石が発見されたのは1994年10月19日。長野市立博物館の畠山幸司学芸員と吉田幸文専門主事が、来馬層群で植物化石を採集する目的で小谷村土沢(つんざわ))流域を調査中に林道脇の露頭から発見した。
 雪崩などによる破壊を防ぐ目的で、早急に保存のための処置を執る必要がある、と専門家から指摘されたが、1995年7月11日の集中豪雨災害で、小谷村全域で深刻な被害が出たほか、化石が見つかった場所への林道が寸断されてしまった。そのため、発掘調査の実施が遅れ、実際に調査されたのは1997年9月だった。その後、レプリカの作成が行われ、翌1998年9月に足跡化石の一部が切り出され、保存処置が施された。
 説明板によれば、足跡が発見された岩盤は、表面は苔に覆われ草木が垂れ下がり、岩の中に根が入り込んだもろい状態だった、という。添付された写真を見ても、よく見つけたものだと思う。

 報告書では、来馬層群から、1990年に首長竜の歯の化石も発見されていると記されている。それと同じものかどうかは不明だが、「クビナガリュウの歯」と記された化石も展示されていた。


 郷土館はこのほかにも、旧石器時代からの小谷村の歴史や、小谷村の暮らしを伝える資料が展示されていた。囲炉裏部屋を再現したコーナーも興味深かった。ただ、少々、寒そうには思えた。

【いろり部屋の再現】

【恐竜足跡化石の遠景】

(取材・2026年6月19日)

長野県・小谷村郷土館

〒399-9422 長野県小谷村千石乙6747
問い合わせ先 小谷村教育委員会(0261-82-2587)

休館日
火曜日
冬季休館(11月末~4月下旬)
午前9時から午後4時半まで

観覧料
高校生以上     300円
中学生以下     無料

           (ホームページなどによる)