恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

一面が大きく開いた美しい展示室は内容も充実(ベネックス恐竜博物館=長崎市恐竜博物館①)

一面が大きく開いた美しい展示室は内容も充実(ベネックス恐竜博物館=長崎市恐竜博物館①)

【美しい恐竜全身骨格の展示室】

 恐竜の展示室に入って、「ホーッ」と声が出た。昨年末以来、いろいろと恐竜に関連した博物館を巡ってきたが、こんなに美しいと感じる展示室を見たのはここが初めてだ。海に面した一面が完全なガラス張りになっている。そこから見える海が青い。梅雨の真っ最中に行ったというのに、この場所に来たときだけは空が晴れたのも幸いしたのだろう。手前に見える島は高島、奥が端島、有名な軍艦島だ。確かに古い軍艦のように見える。
 室内の巨大な恐竜がシルエットで見える。左奥は一面が恐竜を描いた絵画だ。長崎市から産出した恐竜の骨をもとにイメージした、白亜紀の長崎の姿を描いているのだろう。その手前、広々とした空間の中に、恐竜の全身骨格標本が並んでいる。


 光の具合で展示が見にくくなるときがあるのだろう、ガラス面のロールカーテンは30分毎に上がったり下がったりする、カーテンが下がると、落ち着いた調光となる、それに合わせて写真を撮る。展示されている内容は、数は多くはないが、説明も丁寧でとても充実している。それをじっくりと見ていたので、何度、カーテンが上がり下がりすることを今回、経験しただろう。


 ベネックス恐竜博物館がある野母﨑(のもざき)は、長崎駅から自動車で約50分。長崎の有名な観光地からはちょっと離れている。この野母﨑を初めとする長崎半島には「三ツ瀬層」という白亜紀後期の地層があり、そこからは2004年以来、いろいろな恐竜の化石が産出している。その縁もあってか、この地域に恐竜博物館を造ることになったのだろう。2017年に建設が決定し、実際に開館したのは2021年10月だから、まだ、できたばかりと言っていい。

【「トリックス」という名がついたティラノサウルス・レックス】

 さて、逆光で、いや、逆光だからこそさらに、雄々しく見えていた恐竜が、「ティラノサウルス・レックス」だ。多くの博物館で見りことができる「ティラノサウルス」だが、ここの博物館の標本はひと味違う、わざわざオランダからやってきた「トリックス」との名が付いた恐竜のレプリカだ。


 ティラノサウルス・レックスはこれまでに40体以上の化石が発見されているというが、米国・モンタナ州で産出した「トリックス」は骨格全体のうち約8割が見つかっているという貴重な標本だ。これまでの研究で年齢は約28歳、尾の一部が骨折から治りかけていた、ということが分かっている。
 オランダのライデン市にある国立の「ナチュラリス生物多様性センター」で制作され、運ばれてきた。同センターにはシーボルトが持ち帰った日本の動植物の標本群が所蔵されている。ライデン市と長崎市が姉妹都市である縁もあり、長崎市と同センターは2019年5月30日に協力提携の覚書を締結している。その協力提携の第一段として、ナチュラリスが作成したレプリカを長崎市が購入し、この博物館に展示することになった。

【ロールカーテンは30分毎に上がり下がりする】

【長崎の恐竜の時代を描いた一面の壁画】

(取材・2026年7月2日)

ベネックス恐竜博物館(長崎市恐竜博物館)

〒851-0505 長崎市野母町568-1
095ー898-8000

休館日
原則月曜日(詳しくは博物館HPを)
12月31日・1月1日

午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)

観覧料(常設展示)
一般               500円
小学生・中学生・高校生      250円

博物館+軍艦島資料館セット券
一般               750円
小学生・中学生・高校生      400円

           (館内ガイドによる)