恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

「エルムテリウム」や「アンブロケタス」など新生代の全身骨格標本が面白い(いのちのたび博物館=北九州市立自然史・歴史博物館③)

「エルムテリウム」や「アンブロケタス」など新生代の全身骨格標本が面白い(いのちのたび博物館=北九州市立自然史・歴史博物館③)

【エレモテリウム】

 中生代の恐竜などの展示に続くのが、新生代の哺乳類などの全身骨格標本。どれも貴重で、興味深いものばかりだった。
 先頭が「エレモテリウム」。更新世の動物で、米国ノースカロライナ州の産出だ。体長4メートル、体重3トンにもなる巨大な哺乳類だ。「恐竜」と見間違えられるほどに、立ち上がった姿は大きい。
 同じオオナマケモノ類では、「メガテリウム」が徳島県立博物館で展示されていた。こちらは南米のみに生息していたようだが、「エレモテリウム」はもっと分布が広大であったようで、北米大陸の南部に到達したあとも、なお北方に進出したようだ。

【パレオパラドキシア】

 続いて、すっかりおなじみになった「パレオパラドキシア・タバタイ」のレプリカが展示されていた。中新世の哺乳類束柱目で、温暖な海域に分布し、河口近くの内湾で生活していたと考えられる。原標本は国立科学博物館と埼玉県立自然史博物館とあるから、岐阜県土岐市泉町で産出した全身骨格標本をもとにしたものだろう。ここでもまた、歩行型で組み立てられていた。
 同じ束柱目の「デスモスチルス」の歯も、少し離れた場所だが展示されていた。

【デスモスチルスの歯】

【マチカネワニ】

 いかにも、狭苦しそうに展示されていたのが、「マチカネワニ」のレプリカ。展示台の奥に置かれていた。写真を撮るのにも困ってしまった。なにしろ全長7メートルもあるのだから、置き場に困るのも仕方がない。大阪府豊中市の大阪大学内で発見された更新世のワニで、模式標本は大阪大学総合学術博物館に収蔵・展示されている。

【アンブロケタス】

 天井からはさまざまな動物が吊されて展示されていたが、その中で興味深かったのが、「アンブロケタス」の全身骨格レプリカだ。哺乳類は哺乳類だが、なんとクジラの古い祖先だと言う。始新世のもので、パキスタンで産出された。原標本は米国の東北オハイオ医科大学にあるという。
 後ろ脚が大きく広がって、泳ぐために都合良くできているという。それ以後のクジラ類では、尾の両端が広がった「尾びれ」が泳ぐために使われている。どのようにして、移り変わっていったのかは分かっていないと、記されていた。

【社宅の六畳間】

 この奥で、自然史ゾーンが終わり、歴史ゾーンが始まる。歴史ゾーンも面白かったが、特に記憶に残ったのが、「昭和30年代の社宅」とのコーナー。八幡製鉄所の社宅を博物館内に建て、1958年10月20日の一日を再現していた。その間取りは同じころの、我が家とそっくりだった。室内の感じもほぼ同じだった。わが家にはテレビと洗濯機と冷蔵庫があったのが違うぐらいか。父がいて、母がいて、筆者と弟がいて、懐かしくなってしばらくその場を動けなかった。本当に素敵な博物館だった。  

                (取材・2026年7月3日)

いのちのたび博物館(北九州市立自然史・歴史博物館)

〒805-0071
北九州市八幡東区東田2丁目4-1
093ー681-1011

休館日
毎年6月下旬頃(外注駆除 約1週間)
年末年始

午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)

観覧料
一般               600円
高校生以上の学生         360円
小・中学生            240円

           (ガイドによる)