恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

中生代の魚類化石として、日本で初めて新種記載されたニシンの仲間2種(いのちのたび博物館=北九州市立自然史・歴史博物館④)

中生代の魚類化石として、日本で初めて新種記載されたニシンの仲間2種(いのちのたび博物館=北九州市立自然史・歴史博物館④)

【ウタツギョリュウの化石】

 いのちのたび博物館では、数多くの貴重な魚の化石が展示されている。それというのも、「この博物館は小さな魚の化石の発見から始まった」からだ。


 説明板によると、北九州市の旧山田弾薬庫跡地には魚類化石を産する地層(関門層群脇野亜層群)が分布している、山田弾薬庫と言えば、西日本最大級の弾薬庫で、旧日本軍、そして戦後は米軍にも使われたところだ。1974年にこの地層から、たくさんの魚類化石が見つかることを小学生が偶然、発見したことが大きなニュースになった。これをきっかけに北九州市産白亜紀魚類化石調査団が結成され、1976年と1977年に発掘調査が行われた。一連の調査で発見されたニシンの仲間のディプロミスタス(Diplomystus)種の新種のタイプ標本や、発掘された多数の標本を保存研究し、その成果を公表する機関を作るため、1978年に自然史博物館開設準備室が作られ、1981年に八幡駅ビルに北九州市立自然史博物館が開館した。その博物館がいのちのたび博物館の前身の一つとなった。

【ディプロミスタス・コクラエンシス】

 発掘された魚類化石はその後、研究されて2種が新種として発表、論文に記載された。「ディプロミスタス・コクラエンシス(Diplomystus kokuraennsis)」と「ディプロミスタス・プリモティヌス(Diplomystus primotinus)」だ。中生代の魚類化石としては、日本で初めて、新種として論文に記載されたものだった。


 その後、同じ脇野層群から20種を超える魚類化石が見つかった。日本だけではなく、東アジアの中世代の淡水魚類を考える上で大変な重要な化石だという。
 脇野亜層群から発見され、新種として報告された中生代白亜紀前期の淡水生魚類のホロタイプ18点は、福岡県指定の天然記念物(地質鉱物)になっている。
 その後、ニシンの仲間の化石種を中心とした研究は大きく進んでおり、北九州の「ディプロミスタス」は近い将来に、異なる属名で呼ばれる日が来るかも知れないとも記されていた。

【ディプロミスタス・プリモティヌス】

 魚類ではなく、魚竜だが、約2億4200万年前の中生代三畳紀の地層から産出した「ウタツギョリュウ(ウタツサウルス・ハタイイ)」のほぼ全身の骨格のレプリカも展示されていた。現在の宮城県南三陸町歌津館﨑の海岸で1970年に発見された化石で、世界最古級の魚竜化石の一つとして注目を集めたものだ。ホロタイプは東北大学総合学術博物館に所蔵、展示されている。ここで見られるとは思わなかった。  

                (取材・2026年7月3日)

いのちのたび博物館(北九州市立自然史・歴史博物館)

〒805-0071
北九州市八幡東区東田2丁目4-1
093ー681-1011

休館日
毎年6月下旬頃(外注駆除 約1週間)
年末年始

午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)

観覧料
一般               600円
高校生以上の学生         360円
小・中学生            240円

           (ガイドによる)