発見・発掘時の興奮伝えるパレオパラドキシア(瑞浪市化石博物館①)
【パレオパラドキシアの復元全身骨格模型】
すいません。今回は恐竜の話ではありません。
岐阜県博物館、豊橋市自然史博物館と巡ってきて、どうにも気になる生物がいた。新生代に生息し、絶滅した哺乳類である束柱目だ。そこで束柱目に縁の深い岐阜県の瑞浪市化石博物館を訪ねた。中央自動車道の瑞浪インターから自動車で3分という場所にある。

【パレオパラドキシアの産状骨格標本】
展示場に入るとまず、広がっていたのが束柱目の一種「パレオパラドキシア」の産状骨格標本(レプリカ)だ。瑞浪市で2022年6月5日に発見され、6月10日に掘り出された。産出当時の映像もずっと流されており、発見・産出時の関係者の興奮した様子が伝わってくる。
その裏側にあるのが、そのパレオパラドキシアの復元全身骨格模型。海を泳ぐ姿で復元している。CTスキャンと3Dスキャンを駆使して作った画像をパソコン上で組み立て、それを3Dプリンターで実寸大にプリントして制作したそうだ。背景には泳ぐ姿が描かれている。
その向かい側にあるのが、実物の骨格だ。前足部分は見つかっていないが、全体の6~7割の骨が残され、とくに頭骨はほぼ完全な状態とある。
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【パレオパラドキシアの骨格(実物)】
少し離れたところには、この標本の研究成果がまとめられていた。①約1650万年前に生息していた②右の肋骨にはフジツボがついており、死骸が海底に沈んだあとしばらく海の中に露出していた③歯や軟骨、骨の状態から年をとった個体だった④骨の周りからは、サメの歯の化石が120本以上見つかった。大腿骨などにはサメが噛んだあとも見つかった。
パレオパラドキシアについての豆知識も紹介されていた。そもそも名前が、「太古(パレオ)」と「矛盾(パラドックス)」を組み合わせて作られたぐらいで、かつては「幻の奇獣」とまで呼ばれていたが、最近はだいぶ研究が進んできたようだ。
体長は2~3メートル。新生代中新世の約2300万年前から約1200万年前に、日本から北米西海岸の北太平洋の沿岸部に生息していた。ひれの小さなセイウチのような姿で、一日のほとんどを浅い海の中で生活していた、とある。

【土岐市泉町で産出したパレオパラドキシア】
同館で販売していた冊子「パレオパラドキシアが見たみずなみのうみべ~化石から学ぶ瑞浪が海だったころ~」は子ども向きに作ったのだろうが、大人も十分楽しめる内容の本だった。だいたい展示の内容をまとめているが、世界のパレオパラドキシア化石の説明が面白かった。頭骨を残すまとまった骨格は、今回の発見で国内5体目だそうだ。これまでに福島県伊達市、埼玉県秩父市、岐阜県土岐市、岡山県津山市で産出されている。それぞれの全身復元骨格の写真も載せられていて、興味深い。土岐市の全身骨格標本(レプリカ)は同博物館でも展示されていた。
パレオパラドキシアの一番新しい化石は、群馬県で産出されたもので、約1200万年前の地層から見つかっている。この少し後に絶滅したとみられているが、その理由はまだ解明されていない。
(取材:2026年2月21日)
瑞浪市化石博物館メモ
〒509-6132 岐阜県瑞浪市明世町山野内1-47
電話 0572ー68ー7710
休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は、翌日が休館日)
12月28日~1月4日
資料整理のための休館日(ホームページ参照)
午前9時から午後5時まで(入園は午後4時半まで)
入館料
一般個人 200円
高校生以下は無料
(瑞浪市ホームページによる)