恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

何を狩ったか、1万2000年前の落とし穴(栃木県立博物館②)

何を狩ったか、1万2000年前の落とし穴(栃木県立博物館②)

【ニッポンサイ(手前)などの全身骨格標本が並ぶ】

 栃木県には佐野市に「葛生化石館」、那須塩原市に「木の葉化石園」があるなど、化石採集には恵まれた県だ。また、足尾山地や八溝山地には中生代三畳紀からジュラ紀の地層が広く分布している。「ならば、恐竜の化石も見つかりそうに思うがいかが?」
 そんな質問が博物館には何度も寄せられたのだろう。「中生代の日本と栃木」という説明板では、わざわざその答えが載せられていた。同県内では、「恐竜の化石は見つからず、たった2個のアンモナイトが見つかっているだけです」とある。そのわけとして、「栃木県に分布する地層が深い海の底でできたため」と記し、「福井県などに分布する『手取層群』のような恐竜の化石が発見される地層は湖、沼、川などでできた地層だ」と説明している。

 親切な博物館だと思う。

 代わりに新生代の化石は豊富なようだ。足尾山地南部の葛生地区の石灰岩地帯からは、更新世の陸生脊椎動物化石がたくさん産出しているという。その一つが「ニッポンサイ」。佐野市江沢町の石灰が採石場から発見された化石をもとに、他の産地の化石も参考にして、復元された全身骨格標本が展示されている。サイの仲間としては日本で初の復元だそうだ。体長は2・3㍍で、亜成獣と思われている。

 周りには北海道産の化石に基づいて復元された「ナウマンゾウ」と、岐阜県産の化石に基づいて復元された「ヤベオオツノジカ」のそれぞれ全身骨格標本も並べられている。

【約1万2千年前の落とし穴の断面剥ぎ取り資料】

 面白いのは、そのすぐ脇に、約1万2千年前の落とし穴の断面剥ぎ取り資料が展示されていることだ。市貝町の寺平遺跡から出土したもので、穴の底には逆茂木として木や竹を刺したあとがはっきりと残っているという。
 先にあげた3種の動物とは残念ながら時代が少しずれるが、どんな動物を狙っての落とし穴だったのだろう。まあ、ニホンジカとイノシシか。その約8000年ほど前、ナウマンゾウなども、もっと大きな落とし穴で狩られたのだろうか、などといろいろと夢が膨らむ。
 自然と歴史の両方を扱う総合博物館ならではの展示だった。

【魚竜の「ステノプテリギウス」の化石】

 魚竜の展示もあった。「ステノプテリギウス」の化石だ。ドイツ産でジュラ紀前期のものだという。
 魚竜の化石は日本でも宮城県で産出しているが、栃木県からも発見される可能性がある、と記されていた。確かに。実現すると、いいな。


 すいません。今回、恐竜は出ませんでした。

(取材:2026年3月1日)

栃木県立博物館メモ

〒320-0865 栃木県宇都宮市睦町2-2
電話 028ー634ー1311
休館日 
月曜日(祝日の場合は開館)
祝日・振替休日の翌平日
年末年始(12月28日~1月4日)
定期消毒による臨時休館(6月17日~6月30日)
午前9時半から午後5時まで(入館は午後4時半まで)
観覧料
一般     260円
高校・大学生 120円
中学生以下  無料
              (ホームページによる)