和歌山のモササウルス類は穏健派(和歌山県立自然博物館②)
【ワカヤマソウリュウのほぼ全身の骨格化石の実物】
ハリウッド映画ではいまや、ティラノサウルスに負けないぐらいに大暴れしているモササウルス類。恐竜ではなく、水棲爬虫類の仲間だ。水棲爬虫類といっても、首長竜でも魚竜でもない。約9800万年前に出現し、白亜紀後期の海で大繁栄、恐竜とともに白亜紀末に絶滅した。世界中で化石が発見されており、30属80種以上が確認されているという。
和歌山県立自然博物館では、モササウルス類の新属新種として2023年12月に認められた通称「ワカヤマソウリュウ(和歌山滄竜)」、学名「Megapterygius wakayamaensis」のほぼ全身の骨格化石の実物が、まさに愛情を込めて展示されていた。化石自体も実に立派なもので、尾びれの部分こそほとんどないが、全長約6メートルのほぼ全身の骨格化石だ。これだけのモササウルス類の骨格化石は、国内はもとより北西太平洋地域では唯一という貴重なものだ。化石の産状レプリカも展示されていた。

【ワカヤマソウリュウの産状化石のレプリカ】
化石も立派なら、その上方に掲げられた説明文も分かりやすく丁寧で立派なものだった。さらに、同館で売っていた第42回特別展解説書「よみがえるワカヤマソウリュウ」の楽しいこと。こういう冊子に漫画を使うのはあまり例をみないが、それがとっても分かりやすくていい。漫画家にも恵まれたのだろう。
それらによると、最初に発見されたのは2006年2月、和歌山県有田川町の鳥屋城山(とやじょうさん)。約7200万年前の白亜紀後期に形成されたと考えられている地層が形作っている場所で、アンモナイトの産地として有名なところだそうだ。当時、京都大学の大学院生であった御前明洋さんが椎骨の化石を発見した。この御前さん、現在は北九州市立自然史・歴史博物館学芸員だ。前回も広川町の恐竜の骨の発見者として登場した。本来はアンモナイトの研究者だそうだが、「持っている人は持っている」、というのがこの化石調査の世界のことなのだな、と改めて思った。
そこから調査が始まり、モササウルスの骨の化石であることが分かって、2010年12月から翌年3月にかけて本格的な発掘調査が行われた。クリーニングに約5年をかけたあと、シンシナティ大学や京都大学などの研究者も加わったチームによって研究が進められ、新種と分かったという。

【ウミガメの仲間「メソダーモケリス属」の一種の、甲羅の一部の化石】
そこから調査が始まり、モササウルスの骨の化石であることが分かって、2010年12月から翌年3月にかけて本格的な発掘調査が行われた。クリーニングに約5年をかけたあと、シンシナティ大学や京都大学などの研究者も加わったチームによって研究が進められ、新種と分かったという。
「ワカヤマソウリュウ」は両目を使ってものを立体的に見ることができた。背ビレが存在した可能性がある。頭骨よりも長い前後の脚ヒレを持ち、前よりも後ろのヒレの方が大きい。などの特徴をもつ。
また、「モササウルス」といえば獰猛な性格のイメージが強いが、「ワカヤマソウリュウは下顎骨がやや華奢で歯も細めであることから、「穏健派」であったと考えられると説明している。
同じ有田川町から産出したウミガメの仲間「メソダーモケリス属」の一種の、甲羅の一部の化石も展示されていた。
(取材:2026年3月10日)
和歌山県立自然博物館
〒642-0001 和歌山県海南市船尾370番の1
電話 073ー483ー1777
休館日
月曜日(祝日・振替休日の場合は次の平日)
年末年始(12月29日~1月3日)
午前9時半から午後5時まで(入館は午後4時半まで)
入館料金
大人 480円
高校生以下 無料
および
65歳以上 無料(年齢確認のできるものを提示する)
(利用案内による)