恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

逃がしたらアカン!逃げられてもアカン! 悲しい交雑サンショウウオ(和歌山県立自然博物館③)

逃がしたらアカン!逃げられてもアカン! 悲しい交雑サンショウウオ(和歌山県立自然博物館③)

【オオサンショウウオの交雑個体】


 「なんだ。この怪物は」と一瞬、たじろいだ。頭をぐっと持ち上げ、右前足を前に出してぐっと踏ん張っている。太い4本指が目立つ。大きさも1㍍以上ある。
 説明もなんだか、おどろおどろしい。
 「捨てたらアカン!逃がしたらアカン!逃げられてもアカン!」
 どんな凶悪生物かと思ったら。本来はおとなしいはずのオオサンショウウオだった。

 ただし、この個体は特別。交雑個体だ。遺伝子鑑定の結果、父親がチュウゴクオオサンショウウオ、母親がオオサンショウウオであると推定された。愛知県瀬戸市で捕獲され、同市から寄贈されたものだ。
 説明板によると、近年各地でオオサンショウウオの交雑個体の発見が相次いでいる。そのため、在来のオオサンショウウオは絶滅の危機に瀕しているという。
 だからこその冒頭の厳しい言葉となったのだ。
 この子にはなんにも罪はない。だが、決してこれから、外の世界を見ることはできないのだ。
 井伏鱒二なら、この状況をどう表現したのだろう。

【オオダイガハラサンショウウオ】


 ぐるりと一周回って、同じ水槽に戻ってみるとオオサンショウウオは位置を変え、頭を下にしたよく見る姿になっていた。前脚も引っ込めているから、その形が分からない。
 この形で見ると、恐いなどとはとうてい思わない。

 和歌山県立自然博物館には、他にも「オオダイガハラサンショウウオ」も常設展示されている。じっと動かずに、大人しい姿を見せていた。
 同博物館の資料によると、こちらは20センチほどのサンショウウオだ。最初に発見された三重県大台ヶ原にちなんで名付けられた。三重県、奈良県、和歌山県のみに分布する固有種。各県の天然記念物に指定されている。渓流域などの冷たい水を好むため飼育が難しく、同博物館でも2023年に、19年ぶりに常設展示を始めた、という。

【セトウチサンショウウオ】

 詳しい解説はなかったが、「セトウチサンショウウオ」もいた。10センチほどの小さなサンショウウオだった。
 サンショウウオの各種は近年、各地でその数を減らしている。それだけに、3種を飼っている同博物館の心意気を感じた。

 恐竜の話がでないどころか、現在生きている両生類の話に終始してしまいました

 和歌山県立自然博物館は和歌山県海南市にある。といっても、阪和自動車道海南インターから自動車で10分という距離で、大阪の中心部からも案外と近い。恐竜の全身骨格標本はないけれど、「ワカヤマソウリュウ」はいるし、面白い展示が多いので、繰り返し行きたい博物館だ。

(取材:2026年3月10日)

和歌山県立自然博物館

〒642-0001 和歌山県海南市船尾370番の1
電話 073ー483ー1777
休館日 
月曜日(祝日・振替休日の場合は次の平日)
年末年始(12月29日~1月3日)
午前9時半から午後5時まで(入館は午後4時半まで)
入館料金
大人     480円
高校生以下  無料
および 
65歳以上   無料(年齢確認のできるものを提示する)

              (利用案内による)