恐竜王国ニッポンをゆく〜化石と大地の記録〜

格調高い展示は国立科学博物館ならでは(国立科学博物館①)

格調高い展示は国立科学博物館ならでは(国立科学博物館①)

【アロサウルスの全身骨格標本】

 「アロサウルス」の骨格標本が誇らしげに飾られていた。東京・上野の国立科学博物館。常設展・地球館の1階展示「地球史ナビゲーター」に入ったところだ。
 常設展を見るのは久しぶりだ。特別展を見に行くと、それだけでもう「お腹いっぱい」になってしまい、常設展をゆっくりと見る余裕は、体力的にも精神的にもなくなってしまう。それではあまりにももったいないので、今回改めて常設展だけを見に行った。常設展だけでも、恐竜は盛り沢山だ。

【違う方向から見たアロサウルスの全身骨格標本】


 展示説明によると、「アロサウルス」はジュラ紀後期(約1億5000万年前)の恐竜だ。頭部以外の大部分は、米国・ユタ州で掘り出された実物化石で、小川勇吉さんから同館に寄贈された。1964年に日本初の恐竜骨格として同館で公開された。


 おぼろげではあるが、子どものころにも見た記憶がある。ただし、その頃と今では、骨格の組み立て方が違っているようだ。

 1階の展示では、恐竜関係は他に「始祖鳥(アーケオプテリクス)」や三畳紀後期の「エオラプトル」のそれぞれ化石があるぐらい。しかし、「種とは何か?」「生物多様性とは何か?」などと、興味をひく展示が多い。
 2階、3階も見逃せないほど面白いのだが、今日はさっと済ませて地下1階に。「地球環境の変動と生物の進化」のコーナーで、副題として「恐竜の謎を探る」とある。中には、恐竜の全身骨格標本が十数体並ぶ。恐竜の基本がおおよそ学べそうだ。全体に展示の格調が高いな、と感じた。

【「中世代最後の日」の展示。左がK /Pg地層復元模型、右が実物】


 ここで何よりも、筆者の興味をひいたのが「中生代最後の日」の展示だ。説明によると、「6600万年前のある日、現在のカリブ海あたりにあった浅い海に、直径約10キロの隕石が衝突した。小天体と地表の破片は大気圏に巻き上げられ地球全体を覆った。その結果、数多くの生物が絶滅する「大量絶滅」が引き起こされた。中生代に繁栄した恐竜も、鳥類を残して絶滅してしまった」とある。その時期を示すのが、展示されていた「K/Pg地層復元模型」。約6600万年前前後の、米国・コロラド州デンバー近郊の地層を三次元計測し、そのデーターを元に精密に再現したものだそうだ。その右側には、その路頭を剥ぎ取った実物も展示されていた。どちらも赤い矢印で示されているのが境界だ。


 恐竜絶滅に関しては、中公新書「恐竜大絶滅」(土屋健著、2025年5月25日発行)がとてもわかりやすかった。同書を読んで、この境界部分を見るとなんとも深い感慨に捕らわれる。人類が核戦争で滅んだとしたら、どんな風に地層に残るのだろうか。それともそもそも地球自体が滅んでしまうのかも知れない。


 同館の展示のなかにはこんな言葉も記されていた。「人類の歴史は600万年。恐竜には1億6500万年の歴史がありました」。そんな栄華を誇った恐竜が、あっけなく絶滅してしまったとは。

                      

【国立科学博物館】

【国立科学博物館。上野駅から歩いて手前が特別展、奥が常設展の入り口だ】

(取材:2026年1月15日・5月2日)

国立科学博物館メモ
〒110-8718 東京都台東区上野公園7ー20
ハローダイヤル:050-5541-8600
休館日 
毎週月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は火曜日)、12月28日から1月1日、くん蒸期間(6月下旬ごろ)
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時半まで)
常設展入館料
一般・大学生630円 小・中・高校生並びに18歳未満と65歳以上、障害のある方とその付き添いの方1名は無料

(館内ガイドによる)